今日の朝飯は不味かった
今までに、これ程不味い物は食べたことがない

それは味が、という意味でもあるが
何より精神面でのことの方が大きかった



歪んだ時間と狂った世界

第04話
猜疑



松野さんが死んだ―
突然の出来事で、未だに受け入れられていない
昨日の夜までは、確かに生きていた


だが、それよりもだ
一番気になっているのは、やはり死因
「出血性ショック死」・・・要するに殺されたのだ


凶器はナイフのような物
数箇所をめった刺し



「こういう時どうしたらいいか、私には分からないが・・・
 やはり一人で居るより、皆で居る方がいいのか?」
口を開いたのは谷さん・・・
だが一瞬、どういう意図でソレを言ったのか俺には理解できなかった


「え、どういうことっスか?
 “犯人”がどこかに居るんなら、皆で居た方がいいじゃないっスか?」
蟹澤の疑問は尤もだ・・・
だが、谷さんが言ったのは恐らく


「島の中に誰か居るのか、俺たちの中に“犯人”が居るのか・・・
 単独犯か、複数か・・・」
ということだろう


俺の言葉に、軽くうなずいた谷さんは続ける
「一人で行動するのは危険
 それでも“犯人”が複数なら、中途半端に集まっているのも危険だ」


「私はこの島を測量してきた
 見たところ人の住んでいる気配はなかった」


辺りは静かだ・・・
大きな声で話しているわけではないのに、
谷さんの声は、うるさ過ぎるほどに俺の耳を打った


「生憎だが私は、この中に“犯人”が居ると思う」
その台詞は漫画などでもよく見かけるようなものであったが、
今の状況では、鼻で笑い飛ばせば済むように軽いものではなかった

谷さんの話は続く


「私としては、外部に“犯人”が居る・・・ということも想定しておきたい
 これからは2チームに分かれて行動してはどうだろう?」




正直、谷さんの考えていることが分からない
俺たちを疑っていると言いながら、行動はともにすると言う
確かに“犯人”が『俺たちの中の誰か』と決まったわけではないが・・・


結局谷さんの提案通り、くじ引きで2チームに分かれることになった

1:谷さん、高杉さん、俺
2:斎藤、向山さん、山城、蟹澤




それにしても・・・何故俺たちは、こんなにも簡単に松野さんの死を受け入れられたんだろう?




   

'06-05-08