「外部犯ですか・・・」
「断定は出来ないがな」
「・・・もし、内部に“犯人”が居るとしたら
 誰が一番怪しいと思いますか?」

「そうだな、一番あり得そうなのは・・・」



歪んだ時間と狂った世界

第09話
旧友



一通りの話も終り、
冷めてしまったコーヒーを啜る


「そういや谷さんって、どれだけ寝たんです?」
斎藤の・・・言い方は悪いが、
“後片付け”をした後、皆は一旦テントに戻った
それでも、俺と谷さんだけは
最後まで起きていたようだった

間近でアレを見てしまえば、
眠れなくて道理かもしれないが


「・・・2時間ぐらいかもしれん
 歳を取ると早く目が覚めてしまうものでな
 決まった時間に起きてしまう」

「歳を取るって・・・ 幾つなんですか?」
尋ねてみる
「今年で、60になる」


全てが、凍りついた気がした


つーか、
「マジですか!?」
俄かには信じられない・・・谷さんが60歳!?
「冗談だ」


全てに・・・裏切られた気がした


 *  *  *  *  *


「私の友人に、『嶽本 亜貴 (たけもと あき)』という男がいる」
特に意味もない談笑状態
そんなときに、谷さんは口を開いた

「仲間内では『アキ』と呼ばれていたが
 彼には、『未来が視える』らしい・・・『夢』という形で」
「それは、正夢ってやつじゃないんですか?」

「私も詳しくは知らない
 ただ、『出来事』が視えるんだそうだ
 そして、見えたことは必ず起こる」


未来が視えるなんて、夢みたいな話だ・・・・・夢なだけに!

「彼はその現象を“録画”と呼んでいた
 どういう意味かよく分からないが、そう呼んでいた」
「“録画”か・・・
 どういう風に喩えたんでしょうね、その人は」

「・・・もしかすると、そのままの意味かもしれないな」
「それって、どういう意味です?」
「さて・・・な」

はぐらかされてしまう



外から、みんなの声が聞こえてきた




   

'06-06-01