ウソだ・・・
有り得ない・・・
どんな仮定をしようとも、それは現実でしかなくて
どんな仮定をしようとも、気休めにすらならなくて
俺たちは小屋に戻ることしか出来なかった
「本当に、これから『荒れる』んですか?」
今はいい天気なのに・・・と、高杉さんは空を見上げる
この穏やかな海も、これから荒れ始めるらしい
小規模の台風というか、嵐というのか・・・の影響で
――俺たちは今、森の方へと来ている
時刻は大体8時といった所か・・・
そろそろ暗くなってきた
高杉さんは近くの川辺で休憩中
俺と谷さんは、その後ろの方の木に寄りかかっている
「今朝の話なんですけど・・・」
気になっていることがあるので、聞いてみることにした
「“犯人”は松野さんじゃなくて、
斎藤だ・・・とは考えられないんですか?」
あくまで仮定の範囲で話をする
「その線は薄いだろうな
もし斎藤君が“犯人”なら、
その『演出』をする共犯が他にも居ることになる
彼が発見されたとき、私と君だけが外に居た・・・
これは他の皆が、小屋に居たことから間違いないだろう
そうすると、あの状況で彼を殺せたのは
外部犯か、松野さんか・・・もしくは私ということになる
だが、私が“犯人”でないことは自分で分かっている
この時点で、外部犯か松野さんか・・・二つに一つだ
私が“犯人”でない、ということを信じるかは、君次第だがな」
ここまでを一息に話すと、谷さんは立ち上がった
「そろそろ戻ろう
遅くなると皆を心配させてしまう」
「そうですね、戻りましょうか」
「高杉さーん、そろそろ戻るよー」
「はーい、今行きまーす」
そういえば、前にもこんな会話をしたよなぁ・・・
などと考え、三人で小屋へと向かおうとした
その時だった
爆音・・・確かにそうだ、あれは爆音だ
ドコからした? 山の方か・・・それとも小屋か?
それは間違いなく、目の前だった
俺と高杉さんの、少し前を歩いていた・・・谷さんだった
目の前で人が、爆発した
そして、彼はもう・・・人の形をしていなかった
そろそろ海が、荒れてきそうだ
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'06-06-03