今まで何度か通ったはずの道なのに
何度も道を間違えた・・・


―そろそろ、雨が降るだろう
  空から零れる涙のように
  慈悲の心に花添えて
  真っ赤に咲いた、死者への手向け―



歪んだ時間と狂った世界

第12話
連続



小屋に着いた頃、恐らくは10時
何度も道を迷いながら、ようやく戻ることが出来た



・・・中に入った途端、自分の正気を疑った

「あ、有山さん・・・」
蟹澤だった
その蟹澤の、少し後ろに山城も居る
向山さんの姿はない
いや、目の前に居ることは分かっている

それでも俺は、それの指す意味から目を背けたかった


向山さんは倒れていた

あまりにも不自然・・・疑う必要もない

彼女は、死んでいた


「どういうことだよ」
時間として、ほんの数秒か、数十秒だろうが
それは、永遠とも思えるぐらいの短くて長い沈黙
「・・・ところで、谷さんはどうしたんスか?」



そこで俺達は、先程の出来事を二人に話した
さすがに驚いたようだったが、
最初の時に比べると、随分マシだった
『慣れた』ということだろう、皮肉なことに

向山さんが“死んだ”状況も聞いた
しかし、それほど驚くことはなかった




「このままじゃ死ぬんだ・・・」
口を開いたのは山城
「・・・なんだよ、急に」
「今までは一日一人、一人で居る時に“殺され”ていた
 でも、今日は二人! それも一人で居たわけじゃない!」
「お、おい・・・少し落ち着け」

いつになく、冷静さを欠いているようだった
「“犯人”なんて・・・“犯人”なんて居ないんだ・・・!」
訳の分からないことを呟き出し、次の瞬間
山城は小屋を飛び出していた


「ま、待・・・」
制止の声も届かなかった
後を追い、小屋を出ようとするが・・・
俺が外へ出るのを許さない、とでも言うかの如く
雨と風が勢いよく、小屋の中に吹き込まれた





『“犯人”が居るのなら』
前に谷さんはこう言った
何故か俺は、この言葉と山城の残した言葉に納得していた




   

'06-06-09