高杉さんは水汲み
3人とはいえ、半日分は汲む必要がある
どうしても時間は掛かってしまうだろう

小屋から連れ出した蟹澤と共に
俺は山へと向かった



歪んだ時間と狂った世界

第14話
登山



島の北側にある崖
実は、前回の時もあまり調べられなかった場所
そこを見てみたい・・・という蟹澤
俺は普通に山を調べるつもりだったから
ここで一旦、二手に分かれることになった


 *  *  *  *  *


たっぷり2時間近くかけ、山の中腹までやってきた
思ったよりも時間がかかってしまったが・・・



この辺りは、麓に比べると割と木が少ない
頂上には、一本の大きな木が立っている
・・・というか、その木以外には何もない
若干草が生えているぐらいだ


「ヤベェ、そろそろ戻んないと飯食い損ねる・・・」
まだ中腹までしか来てねぇのに
と、独りごちる

それにしても、面倒だ
飯を食いに戻って、またここに来なけりゃならない
なら上まで行き、調べ終わってから下りるか・・・?

いや、それはやめた方がいい
そうでないと、晩まで何も食うことが出来ない
さすがにそれはツライ



仕方が無いから、山を下りる

ふと、何気なく見た先 ―今いる場所より少し上の方―
そこに何か違和感を感じる


「あそこって・・・
 あんなに開けた場所だったか?」
つい独りごちてしまう

しかし、そうだ
この山の中腹で、あんな風に開けている場所なんて無いはずだ
なんとなく・・・その場所へと足が進む


 *  *  *  *  *


そこにあるのは、石造りの立派な祠
唯一木で作られている扉は開けられている

中には人型の地蔵
7体あるように思えるが、その内の一つは“破壊”されている


無事に・・・と言うのか分からないが、立っている地蔵は6体
その6体の内、無傷のものは4体
残りの二つの一つには数箇所にヒビが、一つは小さな穴が開いている

更に無傷の物の中で、2つには人名が書かれた紙が貼られている


曰く、『有山 龍哉』『蟹澤 将』と




   

'06-06-26