例えば学校の校庭で、時には森の中で
空を見上げると違和感を感じることがある

出来の悪い映画で、背景を合成しているような
まるで箱庭の中にいる・・・そんな感覚

我々が箱庭を眺めるように、眺めている者が居るのだろうか?
“地球”という名の箱庭を―


そして、そんな存在に思いを馳せるのだ



歪んだ時間と狂った世界

第15話
崖下



よく見ると、“破壊”されているのは一つではない
もう一つ・・・粉々に、とはいかないまでも
無残に弾け飛んだ地蔵があるようだ



・・・これはどういうことだ?

ここにある地蔵の数は、合計8体
“破壊”されている内、まだ原型を留めている方
これは、何かに踏み潰されてしまったかのようだ

つまり・・・


この地蔵は、俺たちそのものなのか?

改めて見ると、数箇所にヒビの入ったもの
その箇所は松野さんが刺されていた位置とほぼ同じだ


その時、『蟹澤 将』と書かれた紙が・・・燃えた
ものの一瞬で燃え尽きてしまう
その直後、その地蔵の頭部が嫌な音を立てて・・・



割れた



杞憂であればいい
それを見た途端、言いようもない不安に駆られた俺は
蟹澤がいるはずの崖・・・いや、崖下へと向かって走り出した


 *  *  *  *  *


息が切れる・・・
普段の運動不足が祟ったようだ
辺りには霧まで出始めている
しかし、それ以上に目の前の光景に驚いていた

今俺の前には山城が居る・・・いや、ある
もうそれは一人で動くことすら出来ないであろう
水死体だ


「こんなトコまで流されてたのか・・・」
暫し呆然と眺めていたのだが
気が付くと、あれほど出ていた霧が無い




良好な視界の隅に人影が映る
尤も、立っているのではなく倒れているのだが


それは、紛れも無く蟹澤だった

崖から転落したらしいが、この高さでは助からない
その光景を見たとき、先程の地蔵の事が頭に浮かんだ

そういえば、立っている地蔵はいくつかあったが、
その中に高杉さんの名前はなかった


もし本当に地蔵が俺たちを暗示しているのなら・・・

高杉サンハ死ンダコトニナル―


「・・・くそ!」
休息を求める体を無視して、再び走り始める




   

'06-06-27