何も考えることが出来ない
ただひたすらに走り続ける
頭の中は真っ白なのに
それでも俺は、走り続けた
余程気が動転していたのか
呆れたことに、何度も道を間違えた
いや、間違えた気がしただけかもしれない
小屋までの距離が異様に長く感じられた
そこに降りだす、雨
熱くなった頭を冷やしてくれる
おかげで、少しだけ冷静さを取り戻せた
今ここで、高杉さんのことが心配でも
頭に浮かぶのは、先程の地蔵のこと
あれは一体なんだったんだ?
あそこにあった地蔵は、間違いなく俺たちだった
“無残に弾け飛んだ地蔵”は谷さん
もう一つ“破壊”されている地蔵
潰れていることからみて、恐らく斎藤だろう
立っていた地蔵は・・・
確か6体あったハズだ
その内、無傷の地蔵は4体だったと思う
いや、1体はあの後壊れたか・・・
で、恐らくそれは蟹澤を指す
残りの3体の一つは俺だ
他に外傷の無い人は向山さんと、山城だけ
破損していた物の内
一つは松野さんだとして・・・
残った一つが高杉さんを暗示しているのか?
だとしたら・・・地蔵の状態はどうだった?
慌てていた所為か
残り一つの地蔵をしっかりと見ていなかった
* * * * *
もう一度祠まで行こうか、とも思った
だが、激しさを増した雨が方向感覚を失くさせる
今は闇雲に走っている訳ではない
だからこそ、ここで祠のある場所へ戻ってしまうと
雨が止むまで小屋への道が分からなくなる
それが恐かった
今日は一体、どれくらい走っただろう?
全身ずぶ濡れになりながら、小屋へと辿りつく
何時の間にか雨も止んでいる
身体にまとわりつく服が鬱陶しい
だが、着替えている時間など無かった
小屋の前に立ち、扉を開け放つ・・・
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'06-07-20