---海苔side--- 「きっつー☆」 なんで・・・なんでみんなそんなに荷物が少ないんだ。 めっちゃしんどいやないか。おかしすぎるわ。 どんな4次元ポケットやねん。 「 あれ、まこたんは? 」 えぇ!?いねぇの?電車の中・・・? 走った。駅長さんに話をかけて電車を探す。 いないいない。どこだよ。いねぇよ、まこたん。 「 みんな、何してるん 」 どこいってたんだ貴様ー!! なんとまこたんのこのこと駅のホームに立っている。 お前ってやつは・・・。 「謝ってこい!!」 Mr.とPIEが同時に叫んだ。 渋々まこたんが駅長さんに謝ってた。 ダイアがなんちゃらかんちゃら怒られてたような気がする。 原因は本当にトイレだったようで。なんじゃそら・・・な感じで。 ○○へはバスで直行する。 バスの中ではまたただだべりんぐ。 ただ喋る喋る。まこたん寝る寝る。 とりわけ、喋ってたのは俺・・・かね。 「今度こそ、ついたどおおおおお!」 シマが叫ぶ。ぐぅっと両手を天に伸ばす。 目の前にはホテルの玄関がたたずんでいた ---PIEside--- ということで旅館の前にやってきた訳だが、様子がどうもおかしい。 見た目から判断して、立派ではあるものの……なんだか凄まじく古い建物のような。 看板に少しツタが絡まっているのはやはり誰が見てもおかしいと思う。 「本当にここ?」 海苔が心配そうに縞の顔を覗き込む。 「 い、いやあ、私も値段とサービスだけみて予約しちゃったからさあ。 HPで見た投票式のサービスポイントは良かったから大丈夫だとおもうよ 」 「 ボロ…… 」 「 だまれまこたん 」 まあ、今はひとまず荷物を預けるだけなのだから大丈夫だろう。 私達は旅館の自動扉に踏み込んだ。と同時に女将さんの声 「 あらあら、いらっしゃいませえお客様ぁ 」 ん、今コーラスで聞こえなかったか? と思う間もなく、女性が出てくる。もちろん二人。二人? 「 わたくしが当旅館次期女将のゆみえと申します 」 「 わたくしこそが当旅館次期女将のゆりえと申します 」 「 いらっしゃいませ(コーラス) 」 うん。よくわからないのでまずは外堀から攻めていこうか。 「 次期ってどういう事ですか? 」 「 当旅館ですね、現在の主人である父が少し病気でおりまして 」 「 恥ずかしながらわたくし達双子でありまして、遺産等々の事で少し揉めております 」 「 いやあ、お客様にこんな事を言うてしまうなんて恥ずかしい(コーラス) 」 これは湯けむり旅情篇と称されるミステリー小説のようなシチュエーションではないか。 あんまり見た事ないけど。 続いてMr.が質問をする。 「 チェックイン何時でしたっけ? 」 「 15時からですね 」 「 それまで 」 「 ごゆっくり(コーラス) 」 最後に縞が締め括る。 「 お二人ともお綺麗ですね 」 「 ありがとうございます(コーラス) 」 「 あ……あのさ……そういうのいいから荷物──ッ! 」 海苔が苦しそうな声で叫ぶ。そうだった、忘れていた。 なにもずっと持ってなくていいのに。 「 すいません、荷物の方だけ先に預かってもらいたいんですが 」 「 ああ、はいはい私ったら気が付かないで 」 「 申し訳ございません 」 「 お預かりいたします(コーラス)」 やっと3キロの荷物が入った背中のリュックから解放された。 ちなみに手に持ったカバンにはあと1.5キロの荷物が詰められている。 そして、海苔は幸せそうな顔をしている。……私も大概な量ではあるが。 「 で、これからどうするんですか? 」 誰かが尋ねた。 ---Mr.side--- 「 で、これからどうするんですか? 」 「 トランプやろうぜ、ポーカー ポーカー! 」 やたらとハイテンションなまこ 電車の中で寝まくってたから、もう眠くないのだそうだ ちなみに、ポーカーのルールは電車の中で説明しておいた 「 やだよ、どうせカードゲームなら『ウノ』とかやろうよ 」 言ってはみたが、誰も持ってきてはいない・・・残念だ 「 ポーカーやろうよMr. 」 しばし沈黙 「 しょうがないな・・・さっき負けたから、今度は叩きのめしてやる 」 そうだ、さっきは負けたんだ 負けた・・・初心者に、ルールも知らなかったヤツラニマケタンダ 「 どうしたMr.ことキング! 落ち着け・・・金属バットを振り回すな! つーか、ドコにあったんだ 」 「 大変だ、キングが御乱心! 」 「うるせぇ!!」 「 きた・・・・・・ロイヤルストレートフラッシュ! 」 声高らかに宣言するまこ 絶句する一同 ここは旅館近くの公園、結構寂しい所で遊具もほとんどない そこで俺たちは、ベンチを囲むようにしてトランプをしている 「 ・・・って、今やってるのは“ばばぬき”だろ、ポーカーはさっき終わったじゃん 」 海苔の一言に固まるまこ チェックインまでまだ、時間が残されている ---海苔side--- 「 ちょっと、散歩いってくるわ 」 ちょっとしたカバンに入れていたカメラを持ってお出かけ。 公園の時計はまだ1時半をさしていた。 「 50分にもどってきて、それからみんなで撮ろう 」 空とか、木とか、鳥とか。 ホテルはボロっちいけど、周りには自然がたくさんあった。 近くを流れる川には魚も居てそれを狙うトンビもいた。 トンビの鳴く声がすごくきれいで。 森に入るといろんな動物が居た。 それを見るのがすごい楽しかった。写真もいっぱいとった。 でも――・・・。 「 っうわぁ!! 」 森から足を滑らして川の近くにおっこちた。 帰る道はない。後ろを見ると断崖絶壁。 足に激痛が走った。 動 け な い 。 ---縞side--- 海苔がカメラを持ってどこかへ行ってから、50分以上経過した。 いまだに帰ってこない海苔を心配し、全員で辺りを探し回る事にした。 「 おーいのりーー!そろそろ戻っておいでよー 」 「 のりいいいいどこー? 」 「 のりー!?のりー!?のりちゃんー!? 」 それぞれが散らばって海苔を探してから数十分、一向にみつかる気配がない、やばい、旅行先で迷子なんて いや、迷子ならまだいい、拉致や誘拐だったらどうすれば・・・ 最悪の結果が頭を駆け回り、私の中で緊張が走る。他の皆もそれぞれの顔に不安をよぎらせている。 「 ・・ぉーい、みんなーごめんー・・・ 」 その時、か細い声が後ろから聞こえてきた 「 海苔!!どないしたん!? 」 全員が海苔のそばにかけよると海苔の足は布をまいて木の棒で固定されていた その海苔を支えてくれているのは、海苔と同世代くらいの黒髪の長い女の子だ。 ほっそりとしたその姿は日本人形のように清楚に感じれとれる きている洋服と可愛らしい花とビーズがついたサンダルは、なんともセンスの良さが感じ取れる物だ 「 のり!怪我してるん!? 」 「 いやー・・・色々あって滑り落ちちゃって・・・ 」 「 お友達ですか?あ〜良かったぁ。私らがたまたま通りかかった時に森の茂み下の方から声がして、 慌ててこの人をロープでひきあげたんです。 救急車をよぶかどうか聞いたんですけど大した怪我やないっていうから 」 「 私ら?ということは他にも? 」 女の子は、うん とうなずくと後ろへ振り返り手を大きくふった、 それに答えるように遠くの方で数人がこちらに手をふってるのがみえた。 「 本当にありがとうございました。今グループ旅行中なんで、何かあったらもうどうしようかと。」 私がそういって頭を下げると女の子は慌てていえいえいえと顔の前で手を横にふる 「 本当にありがとう、えっと・・・名前は 」 「 サキです、えっとノリ君でいいんかな。気をつけて帰ってね 」 「 うん、ありがとう 」 サキと名乗った女の子は海苔に軽く手を小さく振ってから私達に一礼し、 サンダルを軽快よく鳴らし、そのまま小さく見える人影の方へと去っていった 海苔はずっとサキちゃんを目で追いかけている。 「 のりー大丈夫?もうアホやなー心配したで? 」 「 なんや漫画みたいな出会いやな、怪我してそれを介抱してくれた人と恋におちる 」 まこたんはニヤニヤしながら海苔を見る 「 違うって、あのこ関西弁やったし、同じ関西人なのかな・・・と思って 」 「 そういえば関西弁がチラホラでてましたね。もしかしたら近所にすんでる子かもね。ね、海苔 」 PIEもさりげなく笑いながら海苔を茶かす それを不機嫌気味にみていたのはMr. 「 なぁ、海苔の怪我の事もあるし、一旦旅館にチェックインしない? 」 たしかに〜と一同は足をひきづる海苔を連れ、旅館へと帰ってきた。 時計はとうに昼の3時をまわっている 玄関の両脇にある古びた大きくそして上品な下駄箱には靴が何足かすでにあり そこには見覚えのある、花とビーズのついたサンダルが礼儀正しく揃えられていた。 ←前次→