--PIE side-- 「 それでは皆様方、ごゆっくり(コーラス) 」 斯くしてチェックインを済ませ、部屋へ着いた私達御一行。 部屋に入った途端にアメニティチェックをし、 置いてある和菓子(銘菓うぐいすまんじゅう。美味)を取り合ったりしつつも、 一つ皆があまり気付いていない問題があった。 私、さっきまで左腕軽く脱臼してた。 他でもないさっきの自由時間のことである。 あまり観光する気分でもなかったので駅近くの寂れた商店街の筋道にあった 本屋でとある作家の新刊を購入し、 これから何をしようかという時に事件が起こった。 あまり早く公園に戻るのも癪だし、商店街の店でも見ようかとふと曲り角を曲がったとき、 「 ちこくちこくー、きゃーっ! 」 と、後ろから松本さんの弾くギターよりも黄色い声で悲鳴が聴こえたので 何事かと思い振り向いた途端、 食パンをくわえながら運転している自転車が突っ込んできたのだ。 いや、正直その時は食パンだけしか見えなかった。食パンが突っ込んできた。 避け切れず転倒。自転車共に転倒。意識知れず昏倒。強打、頭部前方。繰り返される諸行無情。 向井シュートクさんみたいになってしまったが、後半はあまり関係ない。 アスファルトの質感を久々に肌で感じ、あーこんなにざらついてたんだなあ久しぶり、 と思っていると上から声が聴こえてきた。 「 あ、あの、大丈夫ですか? 」 さっきの黄色い声だ。大丈夫なわけねーだろ、このブタ野郎! と罵りたくなったが、ブタ野郎かどうかはまだ見えない。 とりあえず起きようと右手を地につけ、左手も動かそうとしたのだがどうにも左手が動かない。 これは治療費請求できるな、と思いながら両ヒザと右手で立ち上がると待っていたのは 「 大丈夫ですか? 」 と再度問う女神の姿であった。 高校の制服らしきものに身を包み、 目はぱっちりして二重まぶたでまゆ毛は少し太め。 前髪ぱっつんのセミロング。 ぽってりとした柔らかそうな頬、そしてそれなりの胸。 クラスでも控えめと思しき雰囲気を醸し出しており好感が持てる。 ストライクゾーンど真ん中だったのでここは慰謝料を請求する為に電話番号を無理矢理…… と思ったのだがあまり気が進まない。 かわいいからだ。ここは好感度を上げておかないとあの子のルートに入らないだろう。 仕入れ先が残念な感じではあるが、そういう知識を参考に対処する事にした。 「 らい丈夫っす 」 「 本当に? 」 「 ……ょぶっす 」 「 左腕 ふらふらしてますけど 」 うおっ、言われて気付いたが確かにふらふらしている。道理で動かないわけだ。 「 押し込めば、治るんでー、す。力で……ねーじ伏せるんです、よ、力で。ふ、ふ 」 私は何を言ってるんだろう。頭がくらくらしていてあまりまともに物事を考えられない。 「 ……少し……頭を打っているんじゃあ…… 」 「 大丈夫、すから、本当に。それではまた来週まで刮目せ……って待て。さら、だ、ばじゃ 」 といって私はひとまず公園へと向かった。 「 かつせっと…さらだばー……? 」 女神は私の言葉を反芻し、 少し疑問を浮かべたような表情をしながら見送ってくれた(徒歩だから見送る以外できないが) 左腕は押し込んだら治ったので安心し、擦り傷は数カ所あったが商店街の薬局で 「ばんこうそうをください」 と言ったら店員が噴き出した。 もとい、絆創膏を貼れば治るだろうと思い貼って放っておき、集合場所へ向かった。 海苔がどこかへ行ったきり戻ってこないのを知ったのはその後である。 と、もう一回振り返ってみたはいいが、……いやいやいやいやいやそんなバカな。 3時前にパンをくわえて自転車に乗る女子高生が何処に居る? 学校の補習……ならば帰りだろうし、アルバイト? そもそも遅刻遅刻と叫びながらパンをどうやって口にするのだろうか? いや、もうどうでもいい。かわいいもん。あの子めっちゃかわいいもん。 でもあの言動で好感度は上がってないな。 とりあえず『可愛い』で片付けて想像を終わらせると、縞が一言。 「 ……PIEもなんかあったな 」 あっ、バレた。バレたよ!お母さん! そんな中ふとまこたんの方を見ると、まこたんも少しにやついていた。 何があったのだろうか? --Mr.side-- チェックインもした 部屋に荷物も運んだ 和菓子も結構食った PIEとまこが張り切って食ってた 「 暇だし、その辺ちょっと見て回ってくる・・・ 」 みんなに聞こえたかは分からないが、一応言い残して部屋から出る うん、外観は褒められたモンじゃないけど中は結構綺麗だ・・・見た目より広く感じる それにこの建物は、どうやら正面から見た以上に奥に拡がっているようだ 部屋数はあまり多くなさそうだが、何泊かするのが目的なら穴場と言ってもいいんじゃないか? そんな事を考えながら、色々と見て周る 娯楽室 ビリヤードや、卓球・・・どれも古い物だが、決して安い物ではない様に思う 卓球台は板の分厚い、公式用なんかに使われるもの 板が薄いものと比べると、ピン球のはね具合が全然違う ラケット含む備品なども、手入れはしっかりとされている・・・手に馴染む感じが丁度いい ビリヤード台も・・・木の事はよく分からないが、樫だかなんだかの丈夫なやつだ 「 ・・・っと、ここで時間を潰してても仕方ないな 」 後でみんなと来よう、そう結論付ける さて、目の前のコレは何と書いてある? 大 浴 場 そう、風呂だ 部屋数が少なくて・・・なのに少し広いこの旅館 もしかすると、ここの風呂は期待出来るんじゃないか? 露天風呂とまでいかなくても、ノンビリとくつろげる・・・ それだけの広さがあるんじゃないか!? このまま部屋に戻ってもすることはないし、入っていくか 時間的にはまだ早いが 幸い、浴衣は脱衣所の所にもちゃんと置かれていた ここに置いてあるのは珍しいことなのか・・・その辺はよく知らないが、助かった 風呂に入るつもりは無かったが、丁度着替えを小分けしたカバンも持ってきていた 何事も“備えあれば憂いなし”ってなコトだ  * * * * * 風呂の感想? そうだなぁ・・・ 『大』っていう程、大浴場じゃなかった 露天風呂でもなかったし そりゃあ、広いのは広かったけどさ・・・ とりあえず、旅館のこの有り余った(ってことになる)無駄スペースはなんなんだ? って思った 部屋に戻るとみんなくつろいでた 「「「「「 どこ行ってたんやMr. 」」」」」 俺が部屋に入った瞬間、みんなは全く同じ動きで振り返り、きれいにハモらせた ・・・って、声の主が一人多いんだけど 玄関には男用のスリッパが俺、まこたん、PIE、海苔と4人だから4足と 縞さんのスリッパ女用が1足・・・いや2足ある、1足明らかに多い 「 ただi「おじゃましてます」」 被られた とりあえず適当に会釈を返しておく 「 ところで、この状況を説明してもらえると有難いんだけど・・・ 」 「 海苔がさ、助けてくれたお礼をしたいって言い出したんだよ 」 イマイチ要点を言ってない気がするが、PIEが説明してくれた 「 そうか、正直微妙な説明をありがとう 」 それでもなんとなく分かったので、感謝はしておく 後ろでブツブツと、何か言っていたが無視 「 疲れたからちょっと寝るわ、俺 」 晩飯までに起こしてな・・・と言いつつ、手早く布団を引き寝る 「 そういや、Mr.って風呂入ってきたのか? 」 薄れ行く意識の中で、ボンヤリと聞こえた気がした・・・ つーか、反応遅ぇよ --海苔side-- Mr.が帰ってくる30分前。 それは突如としてきた。 「 あー・・・しんど 」 「 あんなに荷物持ってたからねー。おかげで押入れパンパンやで 」 縞が優しそうに笑って言ってくれた。 こういう感じがいいんだ。うんただそれだけ。 「 そういや・・・Mr.は? 」 「 さっき出掛けるとか言ってたような気もするけど 」 和菓子をもぐもぐさせながらまこたんが呟く。 まだ食べるのかコイツは・・・と思いながら縞は答えた 「 んー。そのうちもどってくるやろ 」 「 だねー 」 「 あ、俺もちょっとそこらへん見に行くわ 」 そういって外に出掛ける。ドアを閉めてからかPIEの声で 「また落ちるなよー」 って言われたのは気のせいだろうか? 一応ここの女将さんに処置をしてもらった足は軽い打撲で、特に異常はないらしい。 ただ打撲範囲が広いだけで・・・。 それを骨折と勘違いしてかPIEがチェックインの時にやたら心配してくれたのを覚えている。 あのせわしなさはほかになにかあったんだろうな。 「 ・・・どこ行こうか。飲み物でも買おうか 」 そう思って玄関の自動販売機に向かう。 本当にキレイな内観はある意味名所なんだろうな。 こういうところが有名なんだろうか? " ガチャン " 「あっ・・・」 あの子が居た。 俺が声を掛けるより先に気配に気が付いて後ろを向いてくれた。 大袈裟な包帯を痛々しそうに見ている。 「 足、大丈夫? 」 「 あっ・・・はい。女将さんがちょっと多めに巻いてくれて 」 「 そっかぁ、大変やったね。あ、座る? 」 そういって休憩所の椅子を進めてくれた。 その誘いに乗って一緒に座ることに。 ただ隣にいるだけなのに、胸がどきどきするのは気のせいなんだろうか。 「 あ、ジュース買いに来たんじゃないの? 」 「 いや、ただブラブラしてただけやから 」 本当は買うつもりだったけど、タイミングを見失って買うことができなくなったことは秘密で。 そうだ、助けてくれたお礼――・・・。 「「 あのッ 」」 二人の声が重なった。 なんだか、すごくドキドキした。 「 先にどうぞ 」 「 あ、そう?。すんません。お礼させてもらえんかな? 」 「 お礼・・・? 」 「 助けてもらったから 」 「 そんな、見返りを求めて助けたわけじゃないし 」 「 いや、どうしてもしたいので。俺の部屋に良かったら来てもらえんかな? 」 誘いは断られるだろうか。 始めての人にこんなこと言うのはおかしいんだろうか。 よく分からないけれど、でも部屋いったところでお礼はどうしようか。 「 じゃ、お言葉に甘えて 」 そういって、パッと立って「 行こ? 」と言わんばかりにこっちを向かれた。 浴衣姿のその子はとてもきれいだった。 「 行こうか 」 笑って応えて、今その子は俺たちの部屋に居る――・・・。 --まこたんside-- なんだこの観光しない旅行は、まぁ来るまで殆ど寝てた俺が言えた台詞じゃないんだけどさ Mrは早々に1人で風呂すませちゃったし、 縞はさっきから観光名所地図をひろげて調べてるし 時計はまだ4時くらい せめて外にいかないと、なんか勿体無いな〜 あくびをしながら俺はそんな事を考えていた。海苔の怪我は結局打撲らしく、 少しいたそうだけど1人で歩ける程度にまで回復した。 しかしアレだよ海苔はいつの間にか今日会ったかわいい女の子を部屋につれこんでるしさ PIEはなんかさっきからポヤ〜っとする事が多いしさ どいつもこいつも、どっかでフラグがたったに違いない。俺の第六感がそう呟いている。 俺も実はさっき旅館の合同トイレにいく途中で、綺麗な女の人をみかけた いいよな〜あんな人。あぁいう人おれタイプだわ、なんかニヤけてきた ま、どうせこの先もう会わないだろうけど。 「 よし!ここなら行ける! 」 突然の縞の声に寝てたMrも飛び起きた 「 どないしたん? 」 海苔が聞くと縞は地図とパンフレットを持って机の上に広げた 「 ほら、ここならこの旅館から近いし、それなりに楽しめそうやろ? 丁度歩きで15分くらいでいけるんじゃないかな 」 縞の指の先には、この土地では有名な城跡と茶屋町通りのような絵が描かれていた。 海苔の隣ではサキちゃんとやらが、いいな〜という顔をしている それに気づいてか縞がサキちゃんに声をかける 「 なぁサキちゃん、よかったら一緒にいかへん?もしサキちゃんがよければだけど 」 サキちゃんが驚いた顔で本当ですか!?と聞き返している。縞は勿論と穏やかな笑みで答える さすが22歳といった所だろうか、なんとなく縞の笑みには抱擁感を感じるな。 そう、それは田舎のおばあちゃんみたいn ボカッ! 「 あひい!いたい!! 」 「 まこたん今、私のこと年寄りと思ったやろ 」 な、なんでわかったん!?こわいぃぃい!何この人!これが女の勘!? 「 ちょっと待っててくださいね!すぐ帰ってくるんで! 」 そういってサキちゃんは部屋をでていって、5分もしない内に戻ってきた。 「 ただいまです!お母さんが良いって! 」 サキちゃんが嬉しそうに部屋にはいってくると同時に、 後ろから年は30歳位の女の人が入ってきた 「 どうもなんかいないと思ったらこちらにお邪魔していたようで、もうっすいません。 初めましてサキの母親でございます 」 「 初めまして、私はしまと言います、 先ほどは海苔を助けてくださり本当に有難う御座いました。 」 あ!あの人はトイレの途中であった人! 突然の親の登場に、全員が固まっている。俺は違う意味で固まる。 ここでまた唯一成人の縞が腰をあげて挨拶をかわす。 それにつられるかのようにそれぞれが軽く挨拶をかわす サキちゃんのお母さんは薄化粧で、サキちゃんに似て清楚な感じで・・・ いやサキちゃんが似てるのか とりあえず綺麗。やっぱり綺麗。何度みても綺麗。 縞とサキちゃんのお母さんは色々何か言葉を交わしている。 言葉の端々からするとどうやら一緒にかないかという話をしているみたいだ その風景をみてると、俺はなんだかすごく胸がときめくのを感じた。 も、もしかしてこれフラグじゃね!?俺のフラグ人妻かよー!不倫か!?不倫か!? 「 ― はい、よければご主人様もご一緒に、ご家族そろってどうです? 」 縞がそう聞くと、サキちゃんのお母さんは少し寂しそうな顔をした 「 サキの父親は10年ほど前に他界してしまいまして、 今日は私とサキと、サキのお友達と旅行にきてるんですよ 」 未亡人きたーーーーー(゚ ∀゚)ーーーー! 何かがふつふつと俺の中でもえたぎりはじめたのであった。ラブとまらない --PIE side-- 「 もうそろそろ着くんじゃないかなーと思うんだけど 」 なんだかんだで行く事になり、(なぜか)縞が案内役となって城跡まで辿り着いた私達。 だが、聞いてない。聞いてないぞ。自転車で突っ込んできたあの子が サキちゃんの友達なんて……! 出発前に、 「怪我大丈夫ですか?」 「大丈夫です。ええ」 くらいの少しだけの話はしたものの……あんまり喋れていない。 やたら可愛くて緊張するんだもの。 サキと海苔は途切れ途切れながらも喋れているが……。 それよりもまこたんとサキちゃんのお母さんの口数がやたら多いのは気のせいだろうか。 「おー、ここだ。すごいすごい」 と余計な事を考えていたら城跡まで辿り着いた。なかなか大きい。 大手門と堀が当時のように作り上げられており、当時天守閣だったであろうところは 一階建ての歴史資料館になっている。 派手さは無いが堅実で立派なつくりである。 青い瓦の門をくぐり資料館へ入ると、職員と思しき人が挨拶してきた。 「 いらっしゃいませ。説明をよろしければさせていただいてよろしいでしょうか? 」 「 あ、はい。お願いします 」 「 この西陽出樹城はですね、今から700年前に築城されまして…… 」 ニシヒイデキジョウ。 城にしては少し長ったらしい名前だが、何か意図でもあるのだろうか。 「 それは西条秀樹とは関係ないんですね? 」 縞が訊いた。ああ、何かひっかかってると思ったが、これだったのか。 「 関係ありません。ええ。もともとここは深い森だった土地でですね 」 「 西から陽が出てくるっていうのは……天才バカボンじゃないですか? 」 「 いえ、バカボンじゃなくてですね。ここに城を作れば攻められないだろう、 攻めても倒されるのは西から陽が登るようなものだと 」 「 それが〜どうした〜…… 」 「 バカボンじゃないんです。こっちがオリジナルで 」 「 西条秀樹なのにバカボンなんですねぇ 」 「 いや、西条秀樹とは関係なくてですね 」 なんという押し問答だ。確かに自分の住んで研究している土地を ヒデキだのバカボンだの言われたら怒るかもしれない。 自分の尊敬する人がバカボンドならまだしも。 「 あの人観光する気ねぇな…… 」 海苔が小さく呟く。それと少し間を置いて、まこたんが具体的な打開策を打ち出した。 「 あっ、あっちにええ感じのあれが! 」 撤回。やたら抽象的だったが、指の先を見ると彼は『ええ感じの喫茶店』を指している。 敷地内の別棟に作られており、城にマッチするように和風の装いでなかなか小洒落ている。 これ本当に公立の施設か? 「 行く?みんなで 」 「 うん、歩いて喉もかわいたしな 」 サキちゃんは気を遣っていそうだが、遣っていないように見えるところがすごい。 「 いこいこー 」 そして……名前はわからないがとりあえず可愛い。 「 お母さんはどうですか? 」 「 そうですね。……もう少しかかりそうですし 」 ちなみに少し前の方に目を戻してみると、 「 資材が勿体ないため、投げて手応えが無いと戻ってくるようにしたこん棒を 」 「 それブーメランじゃないですか? 」 「 いえ、その武器を持った兵士を道一列に並べてですね 」 「 ブーメラン・ストリートじゃないですか? 」 といった不毛なやりとりが続いている。……偶然にしてもでき過ぎている気がするが。 「 じゃ、行きますか…… 」 なるべく目の前の二人に気付かれないように、7人は自動ドアを出た。 「 近くの村の権力者は村の民と呼ばれて…… 」 「 ヴィレッジ・ピープルですか。といえば、YMCA……西城秀樹じゃないですか 」 「 いや、だからそうでなくてですね。中国から武術指導でやってきた、 美人で武将が求婚したといわれる女性の名前は楼蘭と 」 「 ローラですか。……西城秀樹ですね 」 ……私達が去ってからもこんな感じだったらしい。 --縞side-- 私が資料館の職員のおじさんで遊んでいる間に、全員どこかへ行ってしまったようで いつのまにか私は職員のおじさんと二人きりになっていた 「 仕方ない、1人でこの西城秀樹城周辺を観光するか 」 「 西陽出樹城です。よろしければ私が案内しましょうか、そろそろ交代の時間ですのでここ以外の案内もできますよ 」 「 まじですか?秀樹感激! 」 「 西陽出樹城です 」 こうして私は背は170センチ前後で上下黒の制服で身をつつんだ 中肉中背のちょびヒゲはえた名前は”伊藤”という中年の職員のおじさんと観光することとなった 「 みんなには携帯でメールしとけばいいな 」 件名 無題 本文 おまえら何処いった殺す(^ω^) そこらへん観光しとく、またあとで門前で会おう よしっと携帯を閉じると私は伊藤さんに促されるまま歩き出した。 「 そういえばお客様方・・・えぇと縞さんでよろしかったでしょうか。 もしかして、花ノ屋さんの所へお泊りになるんで? 」 突然の質問に私は一瞬、間をおいてしまい、それに気づいた伊藤さんは慌てて言葉を付け足した 「 あ!別に変な意味ではなくてですね、ただここまで歩きでこられる範囲で泊まれる処といえば 花ノ屋しかないもので・・・ 」 伊藤さんは苦笑いをしながら頭をかいている 「 いやいやいきなり言われてどう答えたらいいのかわからなかっただけですから 気にしないでください。おっしゃる通り花ノ屋に今夜は泊まるんですよ、 でもなんかあそこ今大変らしいですね 」 「 あぁ・・・確か宿のご主人がご病気とかで・・・色々あるみたいですね 」 そういい終わってから数分後に、私は後ろからおいかけてきた皆と合流した。 「 きいいいお前らどこいってたんじゃー 」 「 ごめんごめん、なんか話し込んでたから声かけにくくって、喫茶店にいたんやよ。な 」 海苔は他のメンバに相槌をもとめる、全員わざとらしいくらいに首を縦にうごかしている 「 ・・・喫茶店で何かあったんか? 」 「「「「「「 ないないないない!全然ない!はははあるわけないじゃん! 」」」」」」 ・・・あやしい・・・ その時、ふわっと何かお香のような香りが風にのってやってきた この香り・・・どこかで・・・ 「 あら!お客様こちらに観光にこられていたんですね〜 」 女将さんだった、いや 時期女将の片割れと言うべきか 「 あぁ・・・えっと時期女将さんでその双子の・・・えぇと 」 「 あ、私”ゆりえ”の方でございます、姉は今旅館の方で夕食の支度をしております。 分かりにくくてすいません。私どもは本当にそっくりなもので・・・ だから見分けがつくように違う臭い袋のついた根付を色違いでつけているんです。 私は赤色で姉のゆみえは青です。これならわかりやすいでございますでしょう? 」 「 ・・・えぇ・・・まぁはい、わかりやすいですね 」 正直ものすごくわかりにくい。 全員がそう思ったに違いない 「 なぁ縞ー、俺ちょっとトイレいきたいんやけど、いってきてもいいかな、 なぁしま〜しまぁぁあ 」 「 あ!縞さん!私もいきたいかも! 」 「 うちもうちも〜! 」 まこたんとサキちゃんとPIEのフラグ娘がトイレトイレと連呼しだした。 全く、トイレくらいちょっと我慢できんのか。 全くギャランドゥだなと西城秀樹なら言ったに違いない 「 縞さん、西陽出樹城です 」 「 心を読まないでください、伊藤さん 」 ゆりえさんは笑いを押し殺している 「 ふふっ縞様達はおもしろいですね。私には構わず観光なさってください。 私はこれから少しあちらで人と会う約束をしていますので、ここでひとまず失礼致します。 あ、夕食は7時になりますのでそれまでにはすいませんがお戻りになられますよう よろしくおねがいします。 」 ゆりえさんは城の方に視線を動かすと、私達に一礼をしてそのまま城の方向へと歩いていった。 「 7時か・・・今は5時くらいだからまだまだ余裕あるな 」 なんだかんだで殆ど全員がトイレにいってしまい、残ったのは伊藤さんと私、 そして海苔とサキちゃんのお母さんだけだった、 海苔とサキちゃんのお母さんは売店の商品に夢中なようだ。 「 あそこの女将さんは双子なんですね、びっくりしましたよ。 なんせダブルで同じ人間が同じ格好で出てくるんですから 臭い袋で見分けがつくようにしてるって言われてましたけど、 あんなんでわかるんですかねぇせめて着物だけでも違うのにすればいいものを 」 私がそう言うと伊藤さんは少し表情に影を落として呟いた 「 あそこはですね、昔から双子がよく生まれるらしいですよ。そういう家系なんですね、 だから毎回遺産で揉めるそうですよ もっとも、今の女将さん達にはもう1人姉妹がいたんですけどね・・・ 」 伊藤さんはそこまで言うと少し言葉をどもらせた 「 いた  ということは死んだかなんかしたんですか? 」 私がストレートに聞くと伊藤さんは首を縦にうごかした 「 あの方たちは本当は3つ子だったんですよ、でも1人は生まれたと同時に死んでしまったんです、 いわゆる死産ですね。昔にも何回か3人生まれたことがあったらしいんですけど、 どういう因縁か必ず1人は死産になるんです。 奥様は非常に悲しんでおられましたよ、なんで3人は駄目なんだって。 それはもう見ていられないくらいに。 それから間もなく奥様も産後のひだちが悪く、ご病気でなくなられてしまったんです。 」 私が無言でそれを聞いていると、伊藤さんはハッとしたようにして口を押さえた 「 すいません、これからお泊りになる所の嫌な話をベラベラと・・・申し訳ありません 」 「 いやいいですよ、全然きにしてませんし 」 時間は夕方5時15分頃、今この時1人の人間が命を落としているという事を 私達はまだこの時知る由もないのだった。 --海苔side-- おみやげ何買おう・・・、自分のもんだけでいいかな。 特に何か頼まれたわけでもないしねー。 そう思って地方限定カトちゃんを買った。 これは絶対買うもので、好きだった。 筆箱にもついてるし、通学カバンにもついていた。 もっとも、自分で行くのではなく友達からもらうものがほとんどなんだけれども。 「 あー、またみんなどっか行ってるし 」 「 さっき、トイレトイレって言ってたから多分そのままどっかで遊んでるんでしょうね 」 「 俺、置いてけぼりー? 」 サキちゃんのお母さんが笑った。 笑顔はとってもサキちゃんに似ていた。まぁその母親がだから逆か。 に、してもさっきの喫茶店のことは縞だけには言えないな・・・。 「 じゃ、俺もそこらへん行ってきますわ 」 「 気ぃつけてねー 」 振り返ると後ろから手を振ってるサキちゃんのお母さんが居て。 なんだかそれが自分の母親みたいに思えた。 「 はー、それにしてもみんなどこいったんやろ 」 西城秀樹城の反対側までやってきた。 あー、こんなに来ても誰もいないのか。 そう思ってふと帰ろうとしようとすると誰かの笑い声が聞こえた。 とっさに隠れて周りを見ると赤い傘が地面に刺してあって そこに敷物が敷いてあって上には長椅子が。 それは、時代劇で出てくる甘味処のセットみたいな感じで 二人で楽しく喋っているマイちゃん(PIEにぶつかったサキちゃんの友達)とPIEがいた。 --Mr.side-- トイレに行くとところまでは、まこと一緒だったハズだ・・・ うん、確かに一緒だった その後、俺は、適当に売店を覗いてまわった 土産とかなんやら・・・結構色々売ってたなぁ 一応今回のオフにあたって、家族の追及を煙に巻いてきた訳だし 詳しくは言えないけど、理由とか無茶苦茶だった 機嫌取りの為とかに買って行った方がいいんだろうな、土産モン っと、元々まこ探して売店見てたんだ 途中でサキちゃんのお母さんを見かけて、まこを見なかったかどうか聞くと 『 さっきお城の方に行くのを見たわ 』 との事である 海苔も、少し前にそっちの方へ行ったらしい 俺は、礼を言うと二人の後を追いかけることにした サキちゃんのお母さんがまこを見かけたのは、海苔が売店を物色している時 離れた所を通っていった為、まこかどうかもあやふやだったらしいが 今の所ココに観光で来ているのは、俺らくらいのモンだから 恐らくはまこだろう・・・ 凡その見当をつけ城の方へ足を運んでみたら、奇妙な光景を目の当たりにした ここは西(ry 城の裏 そこにPIEとマイちゃん(というらしい)が、二人で駄弁っている 更に、それを観察している・・・海苔 そして、俺の向かい側 (俺の前に海苔が居て、その先にPIEとマイちゃん・・・という配列) つまり、PIE軸対称の位置にまこが居た ・・・あんたら、何やってんのさ? あれ、俺もか? ←前次→