◆霧幻-mugen-◆
-コドモ- ガンッ  ガンッ   ガゴンッ! 「ハァハァ・・はぁ〜あーもう、なんで壊れないのー・・・」 こんなボロボロのドアなら壊れそうなものなのに、 どんなに力まかせに鉄骨で殴っても全くビクともしなかった。 「あ゛〜〜〜っ学校にいかなくちゃ駄目なのに・・・あの教科落とすとヤバイのに・・・・ っていうか帰れなかったら私どうしたら・・・」 体当たりしてみたわものの、鉄骨で壊れない扉が人間のような柔らかいモノで壊れるはずもなく 全て無駄に終わった・・・ ため息をつきつつその場に座り込む、 まったく何処なのかわからないこの場所で、どうやって帰ればいいのか・・・ 車も通ってないし、人だって歩いてない、 家に人が住んでいる気配もしないし歩いて帰るにもどの方向に向かって歩けばいいのか 全然 わからない それにココは自分の居た所と、なんとなく空気が違って居心地が悪い・・・ 途方にくれるというのはこういう事を言うに違いない 「私、帰れるのかな・・・」 誰かがその時、目の前に立った、ハッとして顔を上げる 子供だ  小学校低学年くらいの野球帽をかぶっている子供だ 帽子で影になってるその顔の中でどんぐりのような大きい目だけが異様に目立っている 「・・・・ぁ・・・・・・」 突然現れたコドモに、酸素を求める魚のようにパクパクする 『お姉ちゃん、何処か行くの?』 子供に先を越されてしまった、なんとも情けない・・・・ 「どこ・・・に行くというよりも、お姉ちゃんはね、自分の家に帰りたいのよ・・・ ここはなんていう所か教えてくれる?」 『お姉ちゃんは知ってるはずだよ、きっと忘れてるだけ、 覚えてないだけでここを知らないって事は無いよ』 「??それじゃお姉ちゃんと君はもしかして知り合いだったりするの?」 『 さぁ どうだろう 』 悪戯っぽく笑いを浮かべた子供は突然背を向けて走り出した 「えっ、あっ  ちょっと!」 一人になりたくない! そんな不安からか、つられて子供の後を追いかける 早い 追いつけない 見失うほどではないが、追いつくことができなかった、子供の走る速さとは思えない と、子供はやっと足を止めた、こちらはもう息が上がりきっているのに子供はなんとも涼しい顔をしている 『ここ・・・』 「ここは・・・学校・・・・?」 子供は学校らしき門の前に立ち、校舎へ指さしている 校舎の入り口には覗けるほどの窓が一つあり、人のにぎやかな声や光が漏れていた 『 楽しいと思うから行ってみたら良いよ 』 そんな子供の無邪気な言葉に少しイライラしてしまう、家に帰りたいのに、 なんでこんな所に連れてこられなくてはいけないんだ。 まぁ・・・ついてきたのは、自分なんだけど 気づくと子供は走りさり、小さくなってすぐに見えなくなっていった 「・・・あぁ・・・また・・・・・」 また 一人ぼっち でも子供がいたってことは、人がいるんだ、きっと静かな町なだけで人はちゃんと住んでるんだ きっと・・・ 一人門の前に取り残され、にぎやかな光がこぼれる校舎の窓に近づいていく、 窓を覗いてみたが少し高すぎるのと光が眩しすぎて中がどうなっているのかはっきりわからない でも人はいる、やっぱり人はいるんだ良かったと安堵する ふと先ほど会った、蛇の事を思い出す --イク アテガナイナラ キョウ タノシイ コトガアル-- 「・・蛇が言ってたのも・・・ここの事かな、っていうかあれは私の妄想だなきっと・・・」 そう思った途端、布がかぶせられたかのように、辺りが真暗になった 街頭の灯がうつろげに一つ二つ三つ・・・と順々に灯っていく 突然の暗闇に驚いてつい校舎の中に入ってしまった 「・・・・」 だれも いない 校舎の中には誰もいなかった、あれほどにぎやかな声が漏れていたのに・・・・ あのにぎやかさは一体・・・ 唯一、先ほど見たのと変わらないのは、眩しいくらいの電灯だけだった   060505