の事情


-双子剣士編-


【5】






「 ところで縞、お前さんかわりないと言ったが本当に変わりはないのか 」




「 えぇ、ありませんけど・・・? 」




「 本当か? 」





ペタッ





「 ・・・先生 」




「 うーん、確かにあまり変わりはないようじゃのぉ 」




「 先生・・・ 」




小刻みに震える縞に、先生は隙間だらけの口を大きく開けた




「 牛乳のんどるか?前も言ったじゃろうが乳は乳製品をくわんと大きくならんと 」




「 先生その時に、次やったら隙間だらけの歯を完全に吹き抜けにすると私言いましたよね 」




「 さーてわしは晩飯まで一眠りするかの! 」




先生はそういうと布団を頭からかぶってしまった




「 ・・・まったく、本当に相変わらずなんですから・・・ 」












「 どうでしたか、父上の様子は 」




縞と眠気眼の葉月が先生の部屋を出ると祥鳳が待っていた





「 あぁ、相変わらずだったよ、病気の話も聞いた。 」




「 ・・・そうですか 」



縞がそう言うと祥鳳は少し眉間にシワをよせながら微笑んだ










「 ところで縞さん、今日はどうされますか、もう6時まわってますが

縞さんさえよければ今日はこちらで泊まっていかれてはどうですか 」




縞が客間についてまた御茶をごちそうしてもらっていると


祥鳳と瑞鳳が向かいに座ってそうすすめてきた




「 いやいいよ。今から帰れば7時にはつけるだろうし 」




「 まぁそうおっしゃらずに、7時に帰れたとしても御夕飯の用意やら大変でございましょう?

ね、葉月さんもそれがいいですよね〜 」




祥鳳の双子の妹、瑞鳳が葉月に笑顔でそう話しかける



葉月は ”うん!”と言おうとしたが一瞬ためらった、あんまり図々しい事しちゃいけない


そう子供心に思ったからだ、縞の顔色を伺っている。


縞は少しの間何かを考えて口を開いた




「 ・・・それじゃぁ、お言葉に甘えて今日はお世話になってしまおうかな 」



「 やったー! 」



葉月は嬉しそうに柔らかいソファーに座りながら上下に体を揺らしている


同じように双子の姉妹も嬉しそうな表情を浮かべた。





それから縞達二人は来客用の部屋へ案内された


そこは縞も初めて入る部屋で、その部屋事態あまり人が出入りしたような感じはなく


掃除は行き届いてはいるが、生活感のない本当に来客用らしい部屋だった。


そこで縞は用意されていた浴衣に着替え、葉月と一緒に、沸かしてもらった風呂にはいった


風呂から上がるとそのまま祥鳳、瑞鳳、先生の3人が毎日そこで食事するであろう部屋に通された


すでに先生は席についていて、隙間だらけの歯をみせながら座れ座れと縞と葉月に手招きをしている



食卓には料理が並んでいた。魚の煮付け、出汁巻き卵、麩入りの味噌汁にほうれん草のおひたし


それに栗きんとんが大きな器に盛られていた。



「 さぁどうぞ沢山召し上がってくださいませね、といってもご馳走じゃありませんけれども

明日のお昼はもっと良い物を出せると思いますから明日はお昼も食べていってくださいね 」



瑞鳳は苦笑しながらお茶碗にご飯をよそってそう言った



「 いやいや充分ご馳走だよ、きっとあのまま家に帰っていれば

今日のご飯はレトルトカレーだっただろうからね 」



「 え〜っそうだったの?僕今日ここでご飯食べられてよかったぁ 」



葉月の本当にホッとした様子に食卓を囲んでいる全員が




「 ぷふっ 」



と笑いを漏らした




「 明日のお昼はお二人に是非食べていただきたいのがありますの!

だからぜひとも明日のお昼は食べていってくださいませね 」




「 なんだ?食べてもらいたいものって 」




「 ふふふっそんなのは明日のお楽しみですよ縞さん 」




「 ? そうかそれなら楽しみにしておくよ 」




「 まぁまぁ縞さん、どうですか一杯 」



祥鳳が机の影から大きい日本酒の瓶をとりだしてにっこりと笑った




「 実は知り合いの人から貰ったお酒なんです、なんでも試作品だそうですよ

おいしいらしいですから一緒にいただきましょうよ 」




「 いやぁ・・・いいよ酒は 」




「 あれ?縞さんもしかして下戸ですか? 」




「 いや、そんなことはないんだけど、あんまり飲んだことないだけで・・・ 」




「 ならいいじゃないですか、折角いらっしゃったんです、みんなで乾杯しましょう 」




「 そうじゃそうじゃ、栗きんとんをあてでの酒はまた格別じゃぞ 」




「 父上は勿論、御 ・茶でございまわすよ 」




瑞鳳の一括に先生はシューンとうなだれ


一杯くらい・・・と小さく文句をいった




「 ささ、そうときまれば乾杯でございますわねっ葉月さんはオレンジジュースで乾杯ですわね 」




「 よーしそれじゃかんぱーい! 」




グラス同士が触れ合う軽快な音が、チンッと重なって食卓の上ではじけた




「 ねぇ、ところでお姉ちゃん達、未成年なのにお酒のんでいいの? 」


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