の事情

-怪事件編-



【4】




風呂場の方へにいってみると、縞はもう出たあとだったようで、電気が消えている


できれば着替え場のドア越しに謝りたかったんだけどな・・・と葉月は頭をかきながら縞の部屋へ向かった



縞の部屋は葉月の部屋よりももっと奥にあって、ドアも葉月の部屋とは違ってフスマだ


縞の部屋も鍵付きのドアにする?一応女の子なんだし、と何年か前のリフォームの時に皆が聞いたが


もったいないからいい!と言って結局葉月の部屋だけ鍵付きのドアになった



縞の部屋の前につくと、ふすま越しに声をかけた


しかし、返事は返ってこない。フスマを開けて部屋を覗いてみても


小さな格子付窓と古びた箪笥と小さな丸い机と、よくわからない古い本が入っている本棚


そして1人用の布団一式が敷かれていて、枕の近くには小さな籠にあの黒猫だけが寝息を立てていた



「 あぁ・・・あいつ外か 」



フスマを閉めて、そのまま葉月は縁側から境内の方へ向かった


縞は境内の、とある場所に座って夜空を眺めるのが好きで、大概見つからない時は1人でそこにいる事が多い




境内の方へあるいて、その場所へと向かうと

案の定、縞は賽銭箱の上に座って顔を上にむけていた。



「 おーい、またそこに座ってたら爺さんに怒られるぞ 」



葉月に気づいた縞は少しだけ口元に笑みを浮かべてまた空を見上げた



「 お前なんて小さい頃この賽銭箱の上でおもらししたんだぞ、覚えてるか?

あのあとお賽銭は汚れるし大変だったなぁ 」



クスクスと葉月を流し目で見ながら笑う



「 う、うっせーなー。忘れたいんだから止めてくれよ・・・あのさ・・・ 」



葉月がどもり気味になったのに気づいたのか、縞は顔をこっちにむけて何だ?と聞き返した。



「 さっきさ、なんで動物かわないんだとか色々言ったじゃん、

なんかごめん・・・ 」



「 なんで謝るんだよ、変な奴だな 」



フッと笑うと縞は気にすんなという素振りで手を振った。



「 別になんとも思ってないよ、考えすぎ考えすぎ 」



「 そっか・・・それならいいんだ 」



肩まである髪の毛がまだ濡れていて


月の明かりだけで見えている縞の顔は、なんだか寂しそうで


赤い目と角も、昼間見る時よりは大分違った雰囲気で見える。色が少し夜の加減で青みがかってるからだろうか


やっぱり160年も生きていたら色々あったんだろうな・・・


葉月はそんな事を思いながら、縞の隣に座った



「 なぁ葉月、明日暇か 」



「 え?明日?なんで? 」



縞は突然葉月の顔を見ながら話しかけてきた



「 明日さ、隣町の方までついて来てほしいんだ、あの猫も連れて 」



「 日曜だし、予定ないからいいけど、何しにいくんだ? 」



「 まぁ、飼い主探しって所かな 」



縞はそう言うと、それじゃまた明日なと別れを告げて部屋の方へ帰って行った


葉月はそれから少しだけ月明かりに照らされた境内を眺めていた


この神社はこの町にある唯一の神社で、しかも結構古い。


こんな田舎の神社だけど、それなりに正月とかになれば人が沢山押し寄せる


葉月は小さい頃から、爺さんと縞がこの神社を切り盛りする姿をみてきた


母親の少華も・・・まぁ何かやってた気がする。


さすがに縞が巫女をやったりして表舞台に立つような事はなかったが


でも裏で守るということは、表で守ることよりも大変だ


多分、今までずっとこの神社をそうやって守ってきてくれたんだと思うと


やっぱり、縞には”さん”付けしないと駄目かな


それができなくても、少しは感謝を表さないとな。葉月はそう思った



「 そろそろ俺も戻るかー 」



洗面所に寄って歯を磨いて、自分の部屋に戻り、


縞の部屋を訪ねに行ってから1時間ほどたっていた事を時計を見て知った。



あれ?なんか机の上においてある



「 !? 」



こっこれは見覚えのある・・・!?



☆★午後の昼下がり、寂しがりやの奥様★☆


〜そんな!駄目です奥さん私はただの新聞屋です!編〜!



な・・・何故このビデオが机の上に・・・!



そのビデオについてるメモをあけてみるとこう書いてあった



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はづきへ



昼間掃除してる時に発見しました。今時エロビをベットの下に隠すなんて時代遅れ甚だしい

隠すならもっと頭使って、ちゃんと隠せ

っていうか寂しがりやの奥様って

ぷふー



しまより


追伸:女優年ごまかしすぎ

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「 くっそー!あいつめえぇぇぇ!!しっかりみやがってえぇぇぇ!!うわーん! 」



葉月の感謝の気持ちは一瞬にして相殺された



「 ちきしょう!うまく隠したつもりだったのに!泣いてやる! 」



ベットに顔を押しつぶして、葉月はそのまま夢の世界に泣いて走っていった。




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